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2025.11.05
こんな国語をしています③
本校で国語科の非常勤講師として勤務している佐藤学先生(静岡新聞社論説委員)から、寄稿をいただきました。ご一読ください。
こんな国語をしています③
この漢字、「こんな感じ」ではなく
国語科非常勤講師 佐藤学


「辛い」を「からい」と読むか「つらい」と読むかは文脈によります。受験シーズンを迎え、高3の諸君は「お札」を「おふだ」、親御さんは「おさつ」と読んでしまうのが心情ではないでしょうか。
 
 担当の言論探究(6A、6C選択)で、この切り口で書いたコラム「大自在」を読んでもらい、書き写しと探究を促しました。日本語は発音と文法は簡単ですが、文字が多く漢字の読みも多様、敬語の使い方などもあって難しいとされます。漢字を面倒がらず面白がるところから、国語に興味をもってほしいと思います。

「受験と人生に役立てる国語実技」と大風呂敷を広げた手前、常識の範囲内、そして少しは教養と呼べるレベルの漢字の読み書きを習得してもらえればと考え、後期から漢字小テストを始めました。実技であればこそ、基礎が大切です。

 デジタル社会で知らず知らずにパソコンやスマホの変換機能に助けられ、漢字が書けなくなっているのは自分だけでなく、高校生も同じようです。「この漢字は、こんな感じ」とうろ覚えでいるから、変換候補の中から選べても、手書きするとペンが止まります。

 小テストは「カラー版新国語便覧」(第一学習社)の巻末にある「書き誤りやすい語」「難読語の読みと意味」から出題。そういうリストですから間違えて当然。とはいえ、同じ間違いを繰り返すのは困ります。採点する自分が間違えているのかと不安になるほど、多くの生徒が同じ間違いをしている語句があります。例えば、逐次と遂行の読み。無我夢中と五里霧中のムチュウ。毎朝の礼拝は「イチドウ」が「イチドウ」に会しますが…。

 覚えないと点が取れない。逆に、覚えるだけで得点できる。この国語便覧には「原稿用紙の使い方」「志望理由書の書き方」「小論文対策」などのアドバイスもあり、参考になります。詳細な内容とふんだんな図版は、ゲームや漫画のファンが作品の背景理解に役立つと注目し、成人の学び直しにも人気で想定外の売れ行きという記事を読みましたが、その通りです。ボリュームがあって登下校の持ち運びには不向きでも、一家に一冊の値打ちはあると思います。

(静岡新聞社論説委員=寄稿)

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