2025.09.24
こんな国語をしています
本校で国語科の非常勤講師として勤務している佐藤学先生(静岡新聞社論説委員)から、寄稿をいただきました。ご一読ください。

こんな国語をしています
国語科非常勤講師 佐藤学
本年度、国語の「言論探究」(6A、6C選択)を担当させていただいています。学校オリジナルの科目で教科書はなく、毎回テーマを決め、自作の静岡新聞コラム「大自在」や社説を〝教材〟にしています。
先日は、9月4日付大自在を切り口にオノマトペ(擬音・擬態語)を取り上げました。
「夏の冷たいざるうどんは最高。麺は張りがあり、食感はかみ応えがあり、なめらかにのどを通る感触がたまらない。これに、衣が歯切れよく、ネタに弾力がある海老天が添えられていれば言うことはない」
この文章を、各自オノマトペを( )に入れて書き換えてもらいました。
「夏の冷たいざるうどんは最高。麺は( )、食感は( )、( )とのどを通る感触がたまらない。これに、衣が( )、中が( )の海老天が添えられていれば言うことはない」
オノマトペは幼稚な言葉ではなく、効果的に使えば文章が生き生きとすることに気付いてもらいたいという趣向です。生徒の解答に多様性があったのは発見でした。
例文は日本語学者による文章術のテキストから拝借しました。生徒には解答例として順に(しゃきっり)(しこしこ)(つるつる)(サクサク)(プリプリ)を示したのですが、「しゃっきり」・「しこしこ」は彼女たちの語彙にはないようでした。世代ギャップを感じました。
この問題をチャットGPTなど生成AIに問うたらどう答えるでしょうか。恐らく解答例に近い答えを出すのでしょう。生成AIの基本構造は高度な「穴埋め問題」と聞きました。味覚を持たないAIには、夏の冷たいざるうどんがどれだけ「最高」か知るよしもありません。
この「先生日記」への第1回寄稿(7月19日)に授業の目標の一つは「受験と人生に役立てる国語実技」と書きました。身の程知らずということは自覚しています。「役立つ」ではなく「役立てる」とは無責任だと言われるかもしれません。しかし、このような経験を通して国語に興味をもってもらい、豊かな言語生活を送る糧にしてもらえたらと思っています。
(静岡新聞社論説委員)
国語科非常勤講師 佐藤学
本年度、国語の「言論探究」(6A、6C選択)を担当させていただいています。学校オリジナルの科目で教科書はなく、毎回テーマを決め、自作の静岡新聞コラム「大自在」や社説を〝教材〟にしています。
先日は、9月4日付大自在を切り口にオノマトペ(擬音・擬態語)を取り上げました。
「夏の冷たいざるうどんは最高。麺は張りがあり、食感はかみ応えがあり、なめらかにのどを通る感触がたまらない。これに、衣が歯切れよく、ネタに弾力がある海老天が添えられていれば言うことはない」
この文章を、各自オノマトペを( )に入れて書き換えてもらいました。
「夏の冷たいざるうどんは最高。麺は( )、食感は( )、( )とのどを通る感触がたまらない。これに、衣が( )、中が( )の海老天が添えられていれば言うことはない」
オノマトペは幼稚な言葉ではなく、効果的に使えば文章が生き生きとすることに気付いてもらいたいという趣向です。生徒の解答に多様性があったのは発見でした。
例文は日本語学者による文章術のテキストから拝借しました。生徒には解答例として順に(しゃきっり)(しこしこ)(つるつる)(サクサク)(プリプリ)を示したのですが、「しゃっきり」・「しこしこ」は彼女たちの語彙にはないようでした。世代ギャップを感じました。
この問題をチャットGPTなど生成AIに問うたらどう答えるでしょうか。恐らく解答例に近い答えを出すのでしょう。生成AIの基本構造は高度な「穴埋め問題」と聞きました。味覚を持たないAIには、夏の冷たいざるうどんがどれだけ「最高」か知るよしもありません。
この「先生日記」への第1回寄稿(7月19日)に授業の目標の一つは「受験と人生に役立てる国語実技」と書きました。身の程知らずということは自覚しています。「役立つ」ではなく「役立てる」とは無責任だと言われるかもしれません。しかし、このような経験を通して国語に興味をもってもらい、豊かな言語生活を送る糧にしてもらえたらと思っています。
(静岡新聞社論説委員)

静岡新聞 2025年9月4日(木)